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きましたから、あなたたちも頑張ってください。きっと復旧・復興します」というメッセージを伝える大会にもなりました。「感謝と友情」というテーマそのものが、東日本への激励につながったのではないかと思っています。▽米田指揮者になられたきっかけの一つは、小学校の担任の先生だったと伺いました。○佐渡そうですね、本格的に指揮者を志すのはもっと後のことですが、その先生の音楽の授業でカラヤンのものまねをしようというのがあり、そこで初めて指揮棒を持ちました。そして、僕がものまねをしたら大喝采になって人気者になるわけですね。その出来事が指揮者になる大きなきっかけになったのは事実です。▽米田その後、レナード・バーンスタインの最後のまな弟子として、また小澤征爾さんにも師事されました。○佐渡二人ともものすごく憧れの人でしたから、彼らが発する言葉の一つ一つが自分にとっては宝物です。まず、小澤征爾という人がいなかったら、日本人である自分が指揮者になりたいとは思わなかったかもしれないので、その存在はすごく大きかったです。▽米田知事は佐渡さんの指揮についてどのような感想をお持ちですか。○井戸何しろ体が大きいでしょう。ですから、指揮そのものが雄大ですよね。それでいながら細かいところは丁寧で、きちっと押さえられる。これが佐渡流ではないかなと思っています。○佐渡指揮者は自分では1音も演奏しないんですね。みんなが一生懸命演奏しているのに、指揮者だけが1音も音を鳴らさないわけでしょう。だから、オーケストラのプレーヤーたちに音を鳴らしてもらっているんだということは、常に忘れないように戒めています。▽米田芸文センターでは、子どもたちに音楽の楽しさを伝える活動もしていますよね。○佐渡そうですね。小学校を訪ねて演奏会をするのもその一つです。また、「わくわくオーケストラ教室」という県内全ての公立中学の1年生がここに来てオーケストラに触れるという活動もあります。○井戸私も中学1年生の時に学校で能の舞台を初めて見てびっくりしました。「こんな世界があるんだ」と。本物だけが持っている、伝える力や子どもの興味を引く力があります。子どもたちにとって、本物のオーケストラを聞く機会はあまりないと思うので、わくわくオーケストラ教室で実体験をしていただく。毎年、5万人の生徒が聞いてくれています。○佐渡CDで聞くのとはやっぱり違います。この劇場に来て客席に座って、オーケストラの演奏によって目の前の大きな空気が振動しているということを体験してもらうのは非常に重要なことだと思います。▽米田佐渡さんは小学校の卒業文集に書かれた「将来、ベルリン・フィルの指揮者になる」という夢が昨年かなったわけですが、子どもたちに夢を実現するためのアドバイスは。○佐渡いろいろと振り返っても自分は幸運だったと言い切れるのですが、卒業文集に夢を書いたことが一つのきっかけで、実際、指揮者になっていきました。それでも、指揮者としてやっていけばいくほど、ベルリン・フィルの指揮台はものすごく遠い存在に思えてくるんですね。ただ、卒業文集に夢を書いたことは心に引っ掛かっていました。もしも違う職業についていたとしても、そんな熱い思いは、ずっと心のどこかに持っていたのではないかと思います。○井戸なるほど。○佐渡僕自身、挫折も失敗もたくさんしてきましたが、今になって一つ言えるのは、子どもの時に夢を文書にして残すということは重要なことだったということですね。▽米田小学生のころの自分に何か言うとすれば、どのようなことを言いたいですか。○佐渡「あの指揮台に立ったよ」と報告したいですね。「こんなに大変なもんやと思ってなかった」ということも。でも、確かにわくわくしましたね。▽米田最後に新しい年の抱負をお聞かせください。○佐渡僕の役目は、音楽の面白さや素晴らしさを一人でも多くの人に伝えることだと思うので、今年もそういう活動をたくさんしたいです。昨年、僕はベルリン・フィルで味わった幸福感という、とても大きなものを受け取りました。この芸文センターの舞台でも、あの時のような幸福感をみんなに届けられる指揮者を目指していきたいと思います。○井戸子どもたちにはぜひ、今年一年、何をしようかという夢を固めてほしいですね。私も自分なりに何か目標を決めて、それに向かって生き抜いていくという気持ちを持ちたいと思います。県民の皆さんと共に、目指すものを見つけて、一緒に努力し続けるということを一年の歩みの一つにしたいですね。音楽は心のビタミン平成24年新春知事対談恩師との出会いが指揮者を志すきっかけに夢の実現へと導いた卒業文集に書いた言葉15