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丹波市かき氷からぬくもり届け「きれいな色でしょう」。手渡されたかわいらしい三角の瓶をかざすと、透き通った赤色が美しいイチゴのシロップ。昨年度の「ひょうごの農とくらし研究活動コンクール」で兵庫県女性農漁業士会長賞を受賞した丹波市の企業組合氷上つたの会自慢の逸品です。へたを取り、砂糖をまぶして煮詰める―シンプルな製造工程ながら、どの段階にも欠かせないのは丁寧な手作業。黙々と作業されるスタッフの皆さんの背中には「地道な作業にも決して手を抜かない」という確固とした思いが表れています。実はこのシロップは、同会が??年も前から地元の祭りの屋台で出していた限定メニューでした。「市販のシロップをかけたかき氷で子どもたちの口が真っ赤になるのが気になって。イチゴ本来の味で食べてほしい、その思いから誕生したんですよ」と理事長の秋山佐登子さん。そして、家庭版を熱望するファンの声から、昨年商品化が実現しました。しかし、「商品化には試行錯誤と失敗の日々がありました」とイチゴ班の大前公代さんは振り返ります。こだわりの色を確保する研究や、長期保存と味とを考えた適切な糖度の追求、見栄えの良いラベルの作成。思いを形にする妥協しない姿勢が、〝ぬくもり?となって商品に込められます。地域農業を支え伝統食を伝える氷上つたの会は、生活研究グループによる研究会を前身に平成5(1993)年、加工品作りを通した地域の農業振興を目的に設立。「地元丹波産で、できる限り無農薬の食材を使用すること」をモットーに、安全・安心な特産品を地域に届けてきました。さらに食育という言葉が注目されるずいぶん前から、地域の保育所に出向き、栄養を学ぶ紙芝居や、かしわ餅作りなど食を通した地域貢献を担ってきました。最近では神戸など都市部でも食育教室を開催。「昔ながらの丹波の味を守り、若い世代につないでいきたい」と秋山さんは食育に懸ける思いを話します。従業員は女性ばかり??人で、平均年齢約??歳。しかし、後継者不足に悩むことなく、安定して人員を確保できるのは、働くことが生きがいにつながっているからです。??代の方が「思っていたより忙しい。でも気分転換になって楽しいです」と笑顔で話す姿がまぶしく感じられます。また、「こんな新商品どう」「こうしたらできるんちゃう」と何でも言い合える環境が、活動の幅を広げてきました。「今後は黒豆、青豆の納豆に挑戦したい」と夢を語る秋山さん。作り方から許可の申請、設備の整備まで、一からの準備になりますが、「今から勉強ですね」と前向き。受け継がれた技術や知恵とチームワークを武器に、今後も〝安全・安心おいしい?を追い求めます。「ひょうごの食」から人や地域に広がるさまざまな物語をご紹介します。食材の宝庫、丹波のうまいものを届けて18年、老舗加工グループの新作は「イチゴのシロップ」。誕生には、お母さんたちの思いと情熱が込められた物語がありました。安心、おいしい〝イチゴ味?を家庭に◎イチゴのシロップ・・・氷上つたの会26