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ジオパークは、貴重な地質遺産を保護、保全するだけでなく、地域全体で住民や教育研究機関、民間などが広く関わり、教育活動やツーリズムなどの活動を展開することが重視される。島がユーラシア大陸から引き裂かれて、日本海が誕生する際に生まれた。鳥取砂丘など砂丘・砂州。香住海岸など海かいしょくがい食崖・海食台。淀洞門など洞門・海食洞。経ヶ岬など海岸段丘。神鍋など火山地形や噴出物。猫崎半島などユニークな地層。玄武洞など節理。郷ごうむら村断層など断層。猿尾滝など滝。城崎、湯村など豊富な温泉など「地質・地形の博物館」といわれる。生態系も豊かである。ブナ林、イヌワシ、バイカモ、サンショウウオなどの生物多様性空間である。しかも、コウノトリの野生復帰プロジェクトが、単に保全と増殖だけではなく、地域住民の環境創造型農業の推進など環境整備、自然保護ボランティアなどの住民参加が展開されている。地域資源を生かした体験学習の展開、地形・地質を活用したツアーなど観光交流の促進、地域産業、特に自然を活用した地場産業の振興なども展開されている。もう一つ強調したいのは、学術研究機能の展開だ。新温泉町山陰海岸ジオパーク館、香美町海の文化館、玄武洞公園など地域拠点が整備されている。学術研究機関としては、コウノトリの郷公園にある県立大学自然・環境科学研究所にジオ環境研究部を立ち上げ、将来は大学院の設置も視野に入れて、研究活動を展開している。それに、玄武洞は、第四紀(260万年前?現在)の地球磁場が従前と逆であったことが発見されたことで有名。地球のプレートテクトニクスにより地球の磁場が反対になることがあることをこの玄武洞の磁場の調査から1926年松山基範博士が発見された。■今後の山陰海岸ジオパーク山陰海岸ジオパークがもたらした豊かな暮らしが営まれている、このことが歴史文化風土をつくり、山陰の特性をつくっている。この人と自然の相互関係が生み出した山陰ジオ空間を守り育てていかねばならない。持続可能な社会として、環境保全、教育、地域産業、観光ツアーなど「人と自然の共生」のモデルとしていかねばならない。まず、山陰海岸ジオパーク自体の良さの発信だ。山陰海岸の素晴らしさ、海の幸、山の幸の美味、自然の豊かさなど、さらに、体験できる環境整備がいる。山陰海岸の海から望む、海岸線を歩くなど不可欠だ。第二にアクセスの整備だ。北近畿豊岡自動車道、鳥取豊岡宮津自動車道などの道路整備、余部橋梁等を活用した山陰本線等鉄道の活性化、そしてコウノトリ但馬空港や鳥取空港を活かす交通ネットワークの形成をさらに進めねばならない。三つは、広域連携の強化だ。例えば、ジオツーリズムなど、観光交流を考えても、ジオ拠点や温泉、海岸部など広域有機的ネットワークをさらに強めていかねばならない。ルートの開発も必要だ。これをバックアップする住民の推進もいるだろう。四つは、学術研究機能の強化だ。すでに展示や学習拠点などあるが、これらを結び、学術研究の拠点性を高める必要がある。県立大学自然・環境科学研究所ジオ環境研究部の充実がいる。また、ギリシャのレスボス島と姉妹提携もされた。幅広い交流を期待したい。五つは、ジオエリアの人々の参加だ。人と自然の共生空間をつくる主体は、そこに住む人々であり、この人々がジオエリア空間を守り育て伝えてこられたからこそ、持続可能な地域となりうると考える。京都、兵庫、鳥取にまたがる山陰海岸ジオパーク、頑張れ。11