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更新日:2009年8月20日
今回は、世界に名だたる兵庫の宝・但馬牛のブランド力を守り、生産基盤をより強くする取り組みをご紹介します。
![]() 味の良い霜降りが特長 |
何百年も前から但馬地方で他県の牛と交配しないで飼育されてきた但馬牛。1000年以上も前から農耕や運搬用として人々の生活に欠かせない存在で、長年大切に血統が守られてきました。安全安心な兵庫県産として、現在県内各地で飼育されています。松坂牛や近江牛といった県外のブランド牛の素牛としても知られ、神戸ビーフは国内外で有名な兵庫が誇る高級牛肉です。細かい霜降りと味の良さが特長です。
神戸市中央区で人気のレストラン「神戸プレジール」で料理長の厚澤宏行さんにおいしさの秘密を聞きました。
Q.神戸ビーフのおいしさの特長は何ですか?
厚澤:甘味があって、サシと呼ばれる霜降り部分が細かくてあっさりしているということですね。
Q.神戸牛は、但馬牛の子牛を大きくしたものなんですよね?
厚澤:兵庫県産の但馬牛の中から、脂の質、光沢、肉のしまり具合など色んな厳しい基準をクリアしたものが神戸ビーフとなります。
![]() ただいま、牛のつめきり中 |
このひょうごの宝・但馬牛のブランド力を守り育てていくため、さまざまな取り組みが行われています。まず生産基盤を強めること。但馬牛の子牛を生産する繁殖のための雌牛を、平成22年度に1万8千頭に増加することを目標としています。県と市町、農協などが一体となって、若手農家を中心に牛舎の建設や放牧場の拡大を図り、増頭計画を進めます。
そうした取り組みの例として、まずは香美町にあります畜産農家「田中畜産」に行ってきました。経営する田中一馬さんは現在30歳。大学で畜産を学んだ後、2年間の研修を経て、香美町で5頭の牛から始められた新規就農者です。平成17年に、県や地元農協のアドバイスのもと、補助事業を活用して新しく牛舎を整備し、今では53頭の雌牛を飼う繁殖農家として多忙な毎日を送っています。「最初は牛舎を建て経営するだけの資金や技術が無く、生活のために色々なところで牛舎を借りていました。徐々に牛を増やしていきましたが、一カ所で一頭一頭面倒をみられる環境を作りたいと思ったんです」と牛舎を整備した経緯を話します。
そうした田中さんのケースがモデルとなって、地域では若い方が繁殖農家として頑張っています。20歳の谷渕侑生さんは、平成20年度に但馬牛の繁殖経営を始めました。現在37頭の牛を2,3年で50頭以上にしたいと目標を話してくれました。
![]() センターではさまざまな試験研究が行われる |
より質の高い但馬牛を増やし育てていくためには、繁殖農家の皆さんの努力と同時に、その血統の維持や改良などの試験研究も不可欠です。朝来市にある北部農業技術センターは、主に但馬牛の育種改良や飼育管理の研究を行う所で、中でも質の高い牛肉を生産するために能力の高い雄牛をつくり出すことが最も重要な研究となっています。その研究の内容を北部農業センターの渡邊理研究主幹に聞きました。
Q.どのように能力の高い雄牛をつくり出すのですか?
渡邊:まず、1年に16頭の雄牛の候補を選び、成長度合いや成績(体型や発育など)を調べます。さらにその雄牛だけではなく、その子牛にどれぐらいの能力が伝わるかを調べるために、子牛のお肉の味も検査します。それらの過程を経て優れた牛を絞り込んでいくんです。
また県では、牛肉の新しい評価基準の開発にも力を入れています。これまで、良質な肉のランク付けは霜降りの入り方や肉色などを目で見て判断していましたが、研究の結果、脂肪に含まれるオレイン酸という成分が多いほど肉の風味が良い事が判明。光ファイバーを使った測定装置を枝肉のセリ市に導入する事で、購入の際の判断材料にしてもらおうというわけです。黒毛和種の中でも但馬牛にはオレイン酸が多いという研究結果が出ているそうです。枝肉のセリで購買者に話を聞くと「赤身のおいしさは、脂のオレイン酸の量に関係しているという感覚がありますが、このオレイン酸の測定は面白い試みだと思います」との答え。新しい指標として注目されています。
![]() スーパー種雄牛“丸宮土井号” |
但馬育ちの私にとって、“但馬”の冠をつけた牛の存在は身近ながらも気になる存在でした。今回の取材を通して感じたのは、本当に多くの人や団体が一体となって初めて但馬牛のおいしさやブランド力が維持できるということ。若手の繁殖農家の皆さんが、伝統技術を大切にしながらも、強い経営体制に向けた勉強や改善を追求する姿勢がとても印象に残りました。
また、但馬牛の血統を守るための体制もしっかり確立されていて、特に雄牛を巡る環境はとても厳しく管理されています。今回ご紹介した北部農業センターで選ばれた16頭の雄牛は、野球の世界に例えるといわば控えの二軍選手。年に一度行われる入れ替え戦で7頭が一軍入りのテストを受けます。一軍選手の12頭は加西市にある県立農林水産技術センターで飼育されていて、その中でも首位打者的な存在が「スーパー種雄牛」。今年3月には、新しいスーパー種雄牛「丸宮土井」号が誕生しました。基幹種雄牛としてこれからの但馬牛生産を支えていきます。世界に羽ばたく但馬牛、これからも注目していきます。(米田)
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